講  師: 岡田 洋一
          (鹿児島国際大学 福祉社会学部 社会福祉学科 准教授)

 日  時: 平成28年8月28日(日)13:30〜15:30
 場  所: 多目的ルーム
 参加者: 41名



岡田先生は、最近ニュースになったASKA氏や清原氏等の薬物事件の事などを取り上げ、参加されている方々に声をかけ、反応を見ながら、経験をされているであろう嗜癖や依存を中心に“依存症の理解”について話し始めました。
具体的には何を病むのか。機能不全の家庭におけるアダルトチルドレン(AC)ドメスティックバイオレンス(DV)トラウマ(PTSD)、依存しそれを支えてしまう共依存の関係、重複した嗜癖を持ってしまうクロスアディクションなどの説明をしながら、「子供が自由な表現をできない家庭は困難を抱え易い」「強いストレスを癒したいが解消の仕方を知らない人が多い」「大事な事を大事と考えられなくなる」と、依存症は“心を病み”“身体を病み”“関係性を病む”と話されました。


依存症の方は、自己評価が低かったり、自己と他者の境界設定が苦手でほどほどの距離感が取れなかったり、家族が責任過剰で本人が責任不足になったりすることがある。責任を取りすぎると、本人は幸福に対してどんどん無責任となる。
親密な関係とは、意見の対立が起こった時に、お互いはっきりとNOといえる関係が大切。親密さはいつも別れることをはらんでいる。
相手に合わせたような自己表現をしようとするならば、しがみつきの関係になってしまう。だから親密な関係を再獲得しましょう。
中にはDV被害を受け何も言えない場合もある。共依存と言っても、依存し支えるといった単純な関係性ではなく、支援者の「共依存ですね」という言葉は時に差別ともなりうる。
と、当事者や家族や支援者にメッセージを送られました。
「依存症は回復する。回復者に会い、回復のイメージを持つことが大切」
「仲間と出会い、困難なことを分かち合う」
「人が人をコントロールする事はできないことを認めましょう」
「自分と向き合う勇気が必要」
「大事なのは結果ではなくプロセス」
「正直になり続けないと回復は難しい」
と、
“依存症からの回復”について、どのように考えるといいか、どんな事をしていくといいか、沢山の考え方や方法を話されました。
 



後半は参加された皆様からの質問表を受け取り、その質問に、ひとつひとつ丁寧に答えて頂きました。(「酒を断ち3年。依存症は消えたといえるか?」「多額の株式為替投資をするギャンブル依存に助言を」「振り回されないための方法は?」「適度なサポートとは?」などなど)

講座を受けた皆さんからは、
「モヤモヤしていた事に少し納得がいった…色々ヒントをもらえて大変勉強になりました」
「アルコール大好き。講演を聴いてもっともっと自覚した生活をしなければと思いました」
「依存症が、未だ病と気づかず苦しんでいる人の為にももっと知ってもらう事が大切」
「家族の気持ちを分かって下さっていて心強い、夫にも聴いてもらいたいが関係が…」
「当事者や家族と接する際に独断的一方的なあてはめや専門用語の誤用が危険だと再認識」
と、当事者、家族、支援者など、それぞれの立場で参加された方々から、沢山の感想を頂きました。
参加して下さった皆様、ご講話頂いた岡田先生、ありがとうございました。